
『閉塞経済 −金融資本主義のゆくえ』
(金子 勝、ちくま新書、2008年7月)
【要旨】
サブプライムローン危機が世界を揺るがしている。その原因を知るには、バブルの発生・崩壊のメカニズムと、七〇年代以降の世界のお金の流れを押さえる必要がある。一方、日本国内を見ると、九〇年代以降、政府当局は「構造改革」と「金融自由化」により長期不況を脱する道を選んだが、この選択は果たして正しかったのか。政策のバックにある主流派経済学では、もはや問題を解決できず、格差の拡大など、社会の傷を深くするばかりだ。経済学の限界を指摘し、日本社会の現状と将来を見据えた新しい経済学の可能性を探る。 【目次】
序 戦後最大の米国不況をどうとらえるか
―金融資本主義の経済学
第1章 バブルの経済学―サブプライム危機はなぜ起きたか
1 バブルはなぜ起こるのか
2 バブルはなぜ繰り返されるのか
3 バブル崩壊に対して経済学は役に立つのか
第2章 構造改革の経済学
1 供給サイドか需要サイドか
2 構造改革はどういう結末を迎えたのか
3 制度改革にはどういう思想が必要か
第3章 格差とインセンティブの経済学
1 「正義の問題」と経済学
2 インセンティブ理論の落とし穴
3 新しいタイプの不平等【著者略歴】
1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学。 反小泉・竹中路線の人で、マスコミに出ることも多い金子チェンチェイ。
竹中を一刀両断にするほどのパワーは持っていないのだけれど、でも、まぁ、こーゆーチェンチェイにある程度頼らないと、他に頼る人がいないんだよねぇ。
小泉政治の正体
P105
とくに注意を要するのは、小泉政権が「小さな政府」や「財政再建」をスローガンに掲げたからといって、実際に財政再建ができたわけではないということです。むしろ逆に、小泉政権は取り返しのつかない規模の財政赤字を累積させてしまいました。普通国際残高を見ると、2001年3月末には380兆円だったのが、2006年9月末には674兆円に達しました。財政融資資金特別会計債や借入金などを含む国の借金全体を見ると、538兆円から828兆円にまで膨らんでいます。実にGDP(国内総生産)の約1.5倍もの借金を累積させてしまったのです。 通常の経済学の教科書は、バルブ経済を説明できない。また、格差社会が問われている今、平等や弱者救済の問題を経済学は解決できない。
P153
日本社会がこのような状態になっているにもかかわらず、通常の経済学の枠組みでは格差是正についてきちんとした議論ができない、というのが現実です。なぜ格差を是正しなければいけないのか、あるいは逆に言うと、平等な社会とはどういう社会なのかについて、実は経済学は永遠に論争を続けながら、解答を避けてきたのです。
・・・・・最低限の生活や健康を確保できない状態に陥った人を見ると、多くの人はそれを救わなければならないと考えます。しかし人権に関わる問題、つまり政治哲学で言う「正義の問題」は、実は主流経済学には明示的に存在しません。 チェンチェイは、マルクス主義にもあまり期待をしていないようだけれど、う〜ん、ここまで世界恐慌がひどくなると、やっぱりマルクスの思想をも一回見直してみる価値はあると思うよね。中核派じゃないけれど、まさに「革命情勢」って感じがするもんね。
ブルジョワ系の人が「マルクス、マルクス」って言い出してるし、資本主義の限界を語る人も、チラホラ。ドイツだったかな、大学を占拠した学生が掲げていたプラカードに「資本論を読もう」って書いてあったとか。資本論ブームかな。ワシも、今年は、「資本論」やるからね。
で、なんか「第三の道」を手探りしている感じの金子チェンチェイなんだけど、できることなら、左翼陣営に引っ張りこんでおいたほうがいい人材かな、と思う。これで4人目。ウシシ。。。
【左翼陣営にスカウトしておきたいブルジョア知識人】
・植草 一秀 氏
・大槻 義彦 氏
・榊原 英資 氏
・金子 勝 氏
本書のオススメ度 ★★★☆☆
現在日本共産党委員長を務めている志位和夫さんは、日本民主青年同盟のOBです。
大槻教授の政治思想はどのようなものかは知りませんが、国民が科学的に物事を考えるようになるには現実問題として教育行政のあり方を変えていく必要があるし、そのためには政治の場面では左派が強くなって政治革新が行なわれる必要があります。大槻教授がまじめに科学者として教育者として生きていく限りは左派に行くしかないと考えられます。もちろん、本人がどう思っているかは別問題です。